冬知らずの恋/夏野寛子の感想レビュー

冬知らずの恋 切ない・泣けるBL

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冬知らずの恋 あらすじ

真夜中に読んだら、叫び出したくなる片思い。意識してからは翻弄攻×5年間片思い受 「この恋は行き止まり――――だと思ってた」 愁人(しゅうと)の5年間の片思いが、隣に住むいとこ・千紘(ちひろ)にバレたのはこの夏のことである。

千紘は暑い夜には涼しい愁人の部屋にやってきて、同じベッドに寝ていく。愁人の気持ちも知らずに。そんな夜を繰り返し、魔が差した愁人は寝ている千紘にキスをするが、目覚めた彼に恋心ごとバレてしまう。

愁人は「今までと同じ関係を」と頼むが、千紘の視線は徐々に熱を帯びていき――。

片思いの殻をこじ開けられる、溶けるようなときめきの恋。

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  • 作者 夏野寛子
  • 出版社 祥伝社
  • レーベル onBLUE comics
  • ページ数 194ページ
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ネタバレなしの感想

表紙から夏野寛子さんの美しい絵柄が堪能できます。

「25時、赤坂で」シリーズが有名な夏野寛子さんですが、描かれる絵が繊細で美しく、特にキャラクターたちのきらきらと輝く瞳はとても素敵だなと夏野さんの作品を読むたびに思います。

この作品の表紙、ぜひ裏表紙と合わせて両方を見て楽しんでもらいたいなと思います。表表紙の憂いを含んだ表情の愁人も素晴らしいんですが、裏表紙の千紘もまた…!

これだけ近い距離にいながら背中合わせでそれぞれにあの表情である、というところに愁人と千紘の関係性が現れているように感じます。

コミックスの帯ありバージョンの表紙も美しいんですよね~。

真夜中に読んだら、叫び出したくなる片思い。

との煽り文句どおり、切ない片思いのお話です。

5年前に隣に越してきたいとこの千紘(ちひろ)に片思いしている主人公の愁人(しゅうと)。

自分の部屋は暑いからと夜、愁人の部屋にやってきてはシングルベッドに潜り込み隣で寝ていく千紘。

「男2人で寝るシングルベッドは 優しいだけで許せるほど広くない

5年間 それでも鍵を閉められなかった」

とは愁人のモノローグ。これだけでも愁人の千紘への想いが伝わります。

でも千紘には彼女がいて、しかも自分の母親には決定的なシーンを目撃されたことで千紘への想いや自らの性的指向がバレてしまって距離ができているという。物語冒頭の愁人はなかなかに辛い状況にいます。

家が壁を隔てただけのアパートの隣同士なばかりに千紘と彼女の最中の声を聞いてしまったり。

愁人、不憫な子・・

「正しくなくたって 報われたい」

この愁人のモノローグが心に刺さります。

「冬知らずの恋」、こういった刺さるモノローグや台詞が多いです。少し文学チックというか。BLだからこその切なさややるせなさなどが存分に盛り込まれています。

何度もの、切ない、辛い、を乗り越えて最後は温かく幸せなハッピーエンドへ向かっていきますので、静かに切なさに浸りたい気分のときにおすすめのBL漫画です。

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ネタバレありの感想

愁人は10歳の時に父が亡くなり、母一人子一人の環境で育っているので家庭内は母と自分の二人きりなわけですが。

そんな環境で、最も見られたくなかったであろう母親に千紘にキスしながらピーッしているところを目撃され泣かれるシーン。

愁人はもちろん可哀想で、まだほんの高校生である愁人の気持ちを考えるとめちゃくちゃ胸が痛みました。でも、かといって

母親ひどい! 

とは思えませんでしたね。大人になった今読んでいるからなのか、

そりゃそういう反応にもなるよ・・ ショックも受けるだろうよ・・

と思ってしまいました。

息子の恋している相手が同性である、という部分でそう思ったわけではなく(異性・同性関わらず恋する気持ち自体に悪いことなんて何もないです)、愁人ママの目撃したシーンが特殊過ぎるというか情報がてんこ盛り過ぎるというか。

息子の恋愛対象が同性、かつ相手は血が繋がったいとこ、であり尚且つ息子のピーッシーンを目撃してしまい、さらにはべったり〇〇〇に濡れた手で腕を掴まれ、という。しかも明らかに同意の上ではなくある意味、寝込み襲ってますからね愁人くん・・

これらが愁人ママからしてみれば、自宅でなんの心の準備もしていない無防備な状態で畳んだ洗濯物を息子の部屋に届けたらたまたま目撃してしまったシーンなわけですよ。

親だって人間なので。

そりゃ驚くしショックも受けるし、その場でにっこり笑って「あらやだ☆ お邪魔しちゃったわね☆」なんて反応になるわけない。

ただその後、三週間たっても愁人と話し合うこともせず気まずい距離を置いたままだったのは、大人側としてどうなのかな~という気がしなくもありません。愁人からしたら気まずいのは当然なんだから、せめて大人である母親側から何かアクションしてあげてよ~と思ってしまいました。

…とは読んでる最中に思っていたことを描いてみたもの、ふと考え直すとやっぱり難しいかもとも思ったり。母親からすれば息子と同い年の甥っ子なんて、生まれたときから知ってるもはや第二の我が子のようなものなのでは?? とか思うと息子がもう一人の息子を好き、みたいな感覚もあったのかなとか。

口汚く罵ったりしないぶんまだマシなのかもしれません。きっと母親は母親で葛藤した三週間だったんでしょうね。

物語の途中で、愁人が母親に話すシーン。

「彼女とも続かないかもしんない 母さんが 女の人と付き合えないのと同じで …ごめん」

愁人は終始、自分が同性である男を好きだから母親は受け入れられないと考えていたように感じますが、上記でも触れたとおり母親の立場に立つとそれだけじゃなかったんじゃないかな~~愁人くん~~と思ったり。

最後まで、愁人と千紘がいとこ同士である必然性をいまひとつ感じられずではありました。

別に同い年の仲のいい幼馴染とかでも良かったのでは??

母親との関係は最後まで少し不完全燃焼だったかな、という気がしなくもありません。まぁ現実世界でもそう綺麗に何もかもがうまく片付くなんてことはないので、それはそれでひとつのリアルなのかもしれません。

と、ここまで肝心の愁人と千紘に触れずに母親にばかりフォーカスあてて感想書いてしまいました。

BL作品の感想レビューとは思えない()

愁人と千紘、結ばれたのは良かったです。

あ、最中シーンもあります!

いとこという関係もあり、母親に知られているという点もあり、前途はなかなか厳しい気がしなくもないですが幸せに過ごしていってほしいです。幸あれ!!

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冬知らずの恋 ドラマCD情報

2021年8月時点では、「冬知らずの恋」のドラマCD化情報は見つけられませんでした。

【ちなみに】冬知らずの恋 番外編も発売されています

尚、「冬知らずの恋」の2巻、というか。続巻として二人のその後が描かれた25ページの「冬知らずの恋 番外編」も発売されています。

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