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日本を舞台にした作品から、海外、架空の国を舞台にした作品まで。
生活様式や着るもの、価値観も現代とは異なる、昔の時代を舞台に描かれたおすすめの時代物BL漫画をご紹介いたします。
「ノっぴきならぬ」こふで
「ついに見つけた。七年も忘れられねかった男を――」
時は江戸。侠気あふれる伊達な男と、上品で端正な顔立ちの美男。名も明かさず逢瀬を重ねる――それももう、七年前の話。彼との夜が忘れられなかった寅次は、江戸を転々としながらその”美しい男”を探し続け、ついに再会を果たす。しかし彼は高級料亭の若旦那で、幼い娘と共に暮らしていて…?
『べな』こふで最新作!艶麗な筆致でつむがれる、毛色の違う【色男×色男】の切なくも甘い”初恋のやり直し”。
引用:「ノっぴきならぬ」あらすじより
侠気あふれる伊達な男・寅次(とらじ) × 上品で端正な顔立ちの美男・八重辰(やえたつ)
「べな」で有名なこふで先生が新たに描く、江戸を舞台にしたBL漫画「ノっぴきならぬ」。
1巻のコミックス帯に『色男×色男』と書かれているとおり、寅次も八重辰も美丈夫(びじょうふ)というの言葉がぴったりな美しい男たちです。
ちなみに1巻表紙の向かって左、刺青の入った男が攻めの寅次、右の黒い着物を着た男が受けの八重辰です。
体の関係は持っていたものの、一線を引いたまま決して深入りさせてはくれず、ある日寅次の前から姿を消した八重辰。
それから7年の年月がたっても八重辰のことが忘れられず、江戸を転々としながら探していた寅次はついに八重辰に再会し ──、という。
名前さえ容易に明かそうとはしなかった謎めいた八重辰が抱えていたものは何なのか。
二人の行く末はどうなっていくのか。
読み応え抜群の名作です。
こふで先生の美麗な絵柄と世界観が本当にぴったりとハマっています。
江戸を舞台にした時代ものBLですが、とっつきにくさはまったくありません。
(江戸時代を舞台に、この髪型のキャラたちをこんなにかっこよくて色っぽく描けるなんて。こふで先生の画力がすごすぎます)
7年間も八重辰を探し続けた寅次の健気さも胸に刺さります。
登場人物たちの心理描写も丁寧で、読み進めるほどに引き込まれます。
時代物BLを読みたい方はもちろん、一途な攻めがお好きな方、大人な色っぽいキャラがお好きな方、着物や和物のBLを読みたい方にもおすすめの作品です。
「ノっぴきならぬ」は2026年5月現在、3巻まで発売されています。
「異国の男娼」桜井りょう
「お客さんのココ、凄く大きくて…素直だね」
長崎で二百年の歴史を誇る陰間茶屋・月光亭。弟の薬代を稼ぐため男娼になった葵は金にがめつく、客に冷たい“高嶺の花”。いまや月光亭が誇るナンバーワン男娼となっていた。西洋人の貿易商ロバート・スミスに買われた葵。初めて男娼を見て驚くスミスに「汚らわしい」と吐き捨てられ、蔑まれて――!? 長崎を舞台に花開く、究極の身分差ラブ。引用:「異国の男娼」あらすじより
西洋人の貿易商・ロバートスミス × 陰間茶屋の人気男娼・葵
コミックス帯に『長崎を舞台に花開く究極の身分差ラブ』との煽り文句がある通り、陰間茶屋で客と男娼として出会った二人が織りなす時代もの身分差BLです。
時代は幕末。長崎の陰間茶屋で“高嶺の花”と人気の男娼・葵と、接待で連れてこられただけの西洋人の大貿易商・ロバートスミス。
男色厳禁の宗教を持つ文化圏からやってきたスミスは男娼を買うことには否定的で、最初に相手としてついた葵のことも拒絶する。
はじめは険悪だった二人が、徐々にお互いの人間性を知る中で惹かれ合っていく様子や結ばれてからのロバートから葵への溺愛っぷりが読んでいて楽しい作品です。
男娼ものならでは切なさはありつつも、お話のノリとしては現代ものの雰囲気があり重くなりすぎずに読めます。
また、この「異国の男娼」は前半と後半で物語の舞台が変わるのも見どころのひとつ。
前半は陰間茶屋での客と男娼としての二人が、後半はロバートのもとへ身請けされてからの二人が描かれています。
男娼ものの作品の中でも、客と男娼として出会った二人が結ばれるまでを描いた作品は多数あれど、身請け後の生活まで描かれた作品は少ないのではないでしょうか。
幕末から明治までを描いているため、ロバートと葵を取り巻く環境も目まぐるしく変わっていきます。読み手としては「この先どう展開するんだろう」とわくわくしながら読みました。
ちなみに前半の陰間茶屋パートでは、男娼としてのエピソードも割とふんだんに描かれています。
葵が“肥後ずいき”で店の者から仕込まれているシーンや、様々な客をとっているシーン。出会った当初の、男娼を買うことに乗り気でないロバートの目の前でほかの男娼から抱かれるシーンなどなど。
なお、作者の桜井りょう先生が「史実とは異なる」とあとがきでも書いていらっしゃるとおり、舞台は幕末~明治の長崎となっていますが半分ファンタジーとして読むのがいいかなと思います。
時代物の男娼BLを読みたい、身請け後の話も読みたい、辛すぎるお話じゃないほうがいい、という方にもおおすすめの作品です。
「虎に四目屋」水玉ミズ
老舗「性具屋」のS気質主人×ワケアリの物売り野良猫
助平な胎になっちまったなぁ
「四目屋(ウチ)の自慢の張形、その体で試してもらおうか」
時は天保、江戸。
長屋暮らしの物売り青年・虎はある日、派手で上質な着物を纏った金目の男と出会う。
その男は江戸で知らぬ者はない、かの有名な性具店「四目屋」の主人だった――。
ある出来事をきっかけに、虎が店の新商品を体で試す契約に!?
実在した“日本最古のアダルトショップ”四目屋の主とワケアリの青年。
期待の高画力新星が描く、ダイナミックなエロスが艶やかに迸る江戸BL爆誕!引用:「虎に四目屋」あらすじより
老舗「性具屋」のS気質主人・四目屋 宗明(そうめい) × ワケアリの物売り・虎(とら)
江戸を舞台に性具店「四目屋」の主人と、とある出来事から店の商品を体で試す契約をすることになった虎とのあれこれを描いた、水玉ミズ先生のデビューコミックス「虎に四目屋」。
江戸が舞台ではありますが、表紙の通り髪型は現代寄りです。
攻めが性具店の主人ということもあり、媚薬や性具などが多数登場しています。
上記でご紹介した「異国の男娼」にも登場した『肥後ずいき』が、こちらの作品でも活躍しています(笑)
髪型は現代寄りではありますが、着物、褌、刺青、昔の性具などなど時代ものBLの醍醐味は十分に味わえます。
Sっ気のあるスパダリな攻めがお好きな方、元気で活きのいい受けがお好きな方にもおすすめな作品です。
「虎に四目屋」は2026年5月現在、2巻まで発売されています。
「恋姫」門地かおり
人気歌舞伎役者・優紀は遊び仲間の秋川に密かな想いを寄せていた。戯れを装って身体の関係を持つようになった二人だが、優紀は彼の心にも期待し始め……!?
続編の「小春日和」や、人気読み切りも収録された特別編集!!
引用:「恋姫」あらすじより
門地かおり先生のとにかく切ない名作「恋姫」。
初版は1998年なのですが、現在発売されているバージョンは表紙のみ新たに描き下ろされているようです。
表題作をはじめ、いくつかの読み切りが収録されています。
一度読んだら胸に刺さって消えない名作です。紙媒体で手元に持っていますが、今でも時折読み返すほど私個人のBL史にしっかりと刻まれています。
表題作「恋姫」は、江戸時代が舞台。
人気の立女形・白玉(はくぎょく)こと優紀は、遊び仲間の秋川にずっと密かに想いを寄せている。あるときひょんなことから「男は抱いたことがない」という秋川の“練習台”として体の関係を持つようになり──、という。
物語の冒頭、優紀のモノローグからすでに美しく切ない世界観が広がっています。
『たしかに自分は恋をしている
水泡のように空気に触れると割れる恋である』
優紀から秋川への恋心が健気で、時に利己的で。でも恋をするってこういうことだとも思えるような。
特に印象的だったのは、秋川を“練習”だと言いくるめた優紀が共に布団に入るシーン。
「(男であり友人である優紀の)顔が見えるとちょっと・・」
と躊躇する秋川の様子を見て、手拭いで自らの顔を隠すことにする優紀。その手が震えている描写が切なくて、たまらなくいじらしいです。
(ここだけ読むと秋川けっこうなクズ・・ いえ本編読んでもそこそこク・・ でも優紀はそのクズさも承知の上でやっぱり秋川に恋しているという。恋心って奥深い)
胸苦しくなる切ない余韻を残す作品ではあるのですが、健気な受けがお好きな方にはぜひおすすめしたい大好きな作品です。
「狼への嫁入り~異種婚姻譚~」犬居葉菜
異種間カップルの人外結婚BL。異種な上に“いけ好かない”同士の婚約。狼族には“嫁体化”(かたいか)というしきたりがあった――。
兎族の少年・楓は、村のために 狼族の名家に嫁入りすることになった。人身御供のような結婚に腹を立てながらも持ち前の負けん気で前向きに婚約者と対面した楓だったが、跡取り息子の練は、なぜか冷たくつっけんどん。しかも着いて早々、「異種間で番になるためにお前の体質を変える」と楓は“嫁体化薬”という薬を飲まされ、指で後孔を抉られた。それが、正式な婚儀まで1ヶ月間施される“嫁体化”の始まりだった――。
冷たい跡取り息子狼族 × 隠れ強気な村育ち兎族。
引用:「狼への嫁入り~異種婚姻譚~」あらすじより
名家の跡取り息子・狼族の練(れん) × 強気で一生懸命な貧乏村育ち・兎族の楓(かえで)
タイトルの通り、狼族と兎族という異種間での政略結婚が描かれた犬居葉菜先生の「狼への嫁入り~異種婚姻譚~」。
獣人たちが暮らす架空の国を舞台にしたファンタジーBLでもありますが、食糧不足のため人身御供のような結婚をすることになるなど世界観は少し昔を思わせるような雰囲気があります。
とある理由から、互いの顔も知らないまま政略結婚することになった狼族の練と兎族の楓。
『兎族の嫁が欲しい』と乞われ、狼族から兎族の村への援助の代わりに人身御供のように嫁いできた楓。
だが肝心の結婚相手である名家の跡取り息子・練は歩み寄ろうとする楓にけんもほろろな冷たい態度で──。
跡取り息子の嫁に兎族を望んだ理由、
練が感情を表に出さず楓に冷たい態度を取り続ける理由、
夫婦とは名ばかりの二人の関係性の変化、などなど気になる要素が満載で読み進める手が止まらない作品です。
正式な婚儀まで1ヶ月の間、夜ごとに施される“嫁体化”も良き。
なお、しっかり異種間!異種婚姻!でもあるので、ケモノもの好きな方にもたまらないかと。
(後半のとある最中シーンがまさに異種間。すでに読まれた方には伝わるでしょうか。人間姿であれこれいたしているシーンもしっかりあります)
「狼への嫁入り~異種婚姻譚~」は全3巻で完結しています。
また、番外編(「狼への嫁入り~異種婚姻譚~ 番外編」「狼への嫁入り~異種婚姻譚~ 番外編 潮鳴怪談」等)も発売されていますので気になる方はこちらもぜひ。
「こたえてマイ・ドリフター」大島かもめ
――享楽的な街、ニューヨーク。
景気のいい自動車業界で働くエリオットは、知人の主催する新年パーティーで、初恋の子に似た黒髪で黒い瞳のロバートに一目惚れをした。
その後高級ホテルで再会し、意味深なロバートの視線をきっかけに情熱的な一夜を過ごす。――ロバートが長期滞在するホテルの一室で彼を抱くようになり数カ月。
ドラッグストア経営者だというロバートは、やたらと羽振りが良く非合法の仕事で荒稼ぎしているらしい。
それでもエリオットは、たとえ彼が裏で何をしていようと、淡い恋の甘い疼きを味わいながら楽しめればそれで良かった。
しかし、世界を狂わす過酷な運命が二人を引き裂き――?引用:「こたえてマイ・ドリフター」あらすじより
初恋を忘れられないアッパーミドル・エリオット × 黒い噂のある羽振りのいい経営者・ロバート
1929年のニューヨークを舞台に繰り広げられる、大島かもめ先生の「こたえてマイ・ドリフター」。
ここまで日本を舞台にした和風な時代ものBL漫画をご紹介してきましたが、こちらはニューヨークを舞台にした物語です。
1929年という年号に、史実上なにが起こった年だったのかピンとくる方もいらっしゃるかもしれません。(日本では昭和4年ですね)
アッパーミドル層(準富裕層)の階級であるエリオットは、知人の主催した新年パーティーで黒い噂のある羽振りのいいロバートと出会う。
二度目のパーティーで再会し、体の関係を持つようになった二人にはやがて過酷な運命が待ち受けていて──。というお話。
壮大なストーリーと、やるせないほどの切なさに胸がきしむような作品です。
重いシリアスなストーリーではありますが、救済ものとも言えると思います。
タイトルにある「ドリフター(drifter)」には、『漂流者、放浪者、浮浪者』などの意味があるのだそうで。最初にこの意味を知ったとき、“漂流者”とはロバートを指しているのかなと思ったのですが、読み返してみてエリオットもまた“漂流者”だったのかな、と思い直しました。
過酷な環境や時代に揉まれ流されながらも、お互いに辿り着き、エリオットにとってはロバートが、ロバートにとってはエリオットが帰る家になった。そんな二人の物語だったのかなと。
海外を舞台にした時代ものBLを読みたい方、シリアスな救済BL(読む人によっては若干メリバかもしれません)を読みたい方にもおすすめの作品です。
おすすめの時代物BL漫画をご紹介してきました。
どれも魅力的な作品ですので気になった方はぜひ読んでみてください。



